これは、日本国の憲法前文です。いまから数十年前の私が中学生の時代、歴史の先生の課題で暗記させられた覚えがあります。当時は、もうそのような国策教育など一切ない時代でしたし、その先生も国家主義の強い方でもなかった覚えがあります。むしろ、学生の自由を尊重する革新的な先生でした。その先生に日本国憲法の条文の前文を暗記するように課題を出されたときには、意外に思えました。しかし、今となって、改めて読んでみると、実に自由尊重と責任主義を謳った革新的な内容です。
 皆様も、先入観を捨て、改めて読んで、この基本的理念の素晴らしさを再確認してください。この憲法の誕生には、様々な策略的な打算も関与していたかもしれませんが、図らずも(?)類まれなく理想的な文面が出来上がる結果となったといえると思います。このような戦争廃絶、人の尊厳に関する主張、言論、学術的見解、哲学などの文言は、聞いたり、見たりすることはあっても、一国家の公の、それも国家規律の最高に位置する文面に明文化されていることは、奇跡であり、尊敬に値する法典であると考えます。

 この憲法・前文の理想を米国非難の道具にするのも、ただの看板にするのも、そして本物にするのも、私たち次第であることは間違いのない事実です。

2005年 吉日



★注★ 決して極右翼的運動や思想普及の目的ではありません。貧しい想像のないように、くれぐれもお断りいたします。

日本国憲法

前文


日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法はかかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
 われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
 日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。
<日本国憲法からの引用>

©Yahn All rights reserved.